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ぶいんにっし

村上椎奈 チュートリアル(2)

20XX/07/12
投稿者:村

昨今のゲームではゲームの中でチュートリアルを自然に見せるのがトレンドでよいかも、ということは以前のエントリで書きました。が、それでは実際にどのようなチュートリアルが「良い」のか、自分なりの研究を書いてみようと思います。

アクションゲームを例に、「プレイヤーは上ボタン+攻撃ボタンで強攻撃ができる」というシステムをプレイヤーに伝えたいことを考えます。

<チュートリアルを用意しない場合>

この場合、「強攻撃の存在に気付かずにゲームを中盤まで進めてしまう」プレイヤーが現れる可能性があります

中盤で敵が強くなってきて、強攻撃を使う事ができるゲームクリエイターは当然楽にプレイが可能ですが、それを知らないプレイヤーはそこで詰まってしまう、という事態になりかねません。というわけで、ゲームの序盤でシステムをきちんとプレイヤーに教えておきたいところです。

<絵や文章で説明する>

立て札等を用意して文章で説明をプレイヤーに見せます。プレイヤーは「なるほど、そういうシステムもあるんだな」とここで認識はできます、が……

その後に強攻撃を使わないがちょっとした難所があったり、まだ敵が弱いのでしばらく使う必要がない、というような状況が続くと、せっかく教えたにもかかわらず記憶に残らない、印象がものすごく薄いシステムになってしまいます。そのため、「使わざるを得ない」状況を作ることが大切です。というわけで…

<強攻撃で壊せる壁を作る>

とてもシンプルですが有効なソリューションがこれです。

普通の攻撃は通らないが、強攻撃によって突破できるという壁でプレイヤーを阻み、「どうすれば通れるんだろう」とプレイヤーに問いかけます。こうすることで無理矢理にでもゲームシステムをプレイヤーに「使用させる」ことで、自然なチュートリアルができあがります。

ここで注意点として、チュートリアルとしてプレイヤーにゲームシステムを教唆したい場合、教唆したいものに関係のないものをまわりに置かないというのが基本です。例えば上の例だと、壁の左側に強攻撃でなくても倒せる雑魚キャラを配置したりなどすると、強攻撃の存在を教えたいという意図がぶれ、プレイヤーも目の前の壁をどう突破すれば良いかを集中して悩むことができない、という状況が発生してしまいます。

近くに前述の看板を置いて説明する、壁の先に宝箱を見せる、等で「進みやすくする」「進ませたくする」のも有用です。特に強攻撃のシステムを説明をした後にちゃんとそれを使わせる、という作りになっていると、説明と練習がすぐにできてストレスのないゲームになります。

あとこのような壁を実装しておくと、後々に強攻撃が重要になってくる局面で改めてこの壁を置くことで、プレイヤーに強攻撃の存在を想起させることも簡単になります。

「壁の先の宝箱」と「順路」を分けるという作り方もありますが、これだと説明が不足する場合「この壁は今壊せる壁ではないのかも」とプレイヤーがそこを突破するのを後回しにする可能性もあります。

これは覚えさせたいシステムはいつ使えるようになって、どのタイミングで覚えてもらいたいかによっても変わってきますね。「あとで『伝説の壁破壊奥義』を覚えてから改めて来るべき壁」といった作りにしたい場合は、より親切にするなら…

やはり言葉で説明するのが手っ取り早いでしょうか。

ここで変に「今持っている技でも突破できるかも」感を出すと、本当は突破できないのにプレイヤーに無駄な時間を使わせてしまうことになりかねないので、余計なストレスを感じさせてしまうかもしれません。

ゲームの中盤でプレイヤーに新しい攻撃手段(とか、システム)を与える場合も、やはりすぐに「使わざるを得ない」状況を作って覚えさせるのが有効であるように思います。

…ですが。

こういうのって、クリエイターは当然自分で作ったシステムなので余裕で使うことができますが、プレイヤーにとっては「新しいシステム」が提示されるわけなので、クリエイターの思わぬところではまってたり誤解があったり、というのがあったりするんですよね…

例えば前述の「立て札で強攻撃の仕方を説明し、次に強攻撃で突破する壁を作る」という例で、クリエイターが良かれと思って立て札にフラグを使い、「立て札の説明は1度しか表示されない」という作りにしてしまった場合。

「立て札の説明を何だかよくわからないのでつい読み飛ばしてしまった」というプレイヤーが現れた時に詰まってしまいます。

つまり、「立て札の説明を深く読まなかった→壁に遭遇→読まなかったが説明は1度しか表示されないので強攻撃の仕方がわからない」という詰まり方ですね。

クリエイターとしては「さっきちゃんと説明したでしょう!」と怒りたくなるポイントではあるんですが、やはり人ですからミスや勘違い、見落としはつきもの。どんなプレイヤーの方にも遊んでもらいたい以上、そういったミスや想定外の事態も拾えるようなゲーム作りが理想であるのかもしれません。
(こればかりは、クリエイターは何度も他の人にテストプレイさせてそれを横で見る、ぐらいしか良い解決策が浮かばないのですが…。)

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ここまで「親切」とか「ストレスレス」といった言葉を使って説明をしてきましたが、ゲームからあらゆるストレスを無くすべき、と言っているわけではありません。
全くストレスの無いゲームはそれはそれでやりごたえのないものになるはずです。

適切なストレス、例えば山場となる箇所のボスを強くしたり、時には初見殺しでプレイヤーを驚かせてみたり…といった演出は、ゲームの個性を演出する上で重要な箇所であると思います。

というわけでゲームクリエイターは、プレイヤーに対して「どういう所で苦労して欲しくて、どういう所はスムーズに理解して欲しいか」をきちんと分別してゲームをデザインするのが良いのかな、というのが私の個人的な見解になります。以上、あくまで個人的な研究となりました…ここまで読んで下さった方々、ありがとうございました。

そんな感じで本日は部員2名ほか2名が何故か我が家で泊まり込みをしています。お休みなさい。